Alyson Williams / It's About Time
今や、日本R&B界の大御所的存在となった
KC(松尾潔氏)のおかげで、
1枚の素晴らしいアルバムがリリースされました。
アリソン・ウィリアムズ/イッツ・アバウト・タイム
オフィシャルHP
すでにUK盤は昨年4月に出ていましたが、隠れた名盤として知られた存在
だったようで、アマゾンでレイラ・ハサウェイの
新譜(まだ手に入れてませんが)
にチェックをいれたら、最初にコレを薦められて一緒に買おうか迷っていた
ところでした。
それが突然の国内版リリースということで驚きましたが、その仕掛人はKC
その人でした。彼も以前は単なる音楽評論家だったのですが、MISIA、
平井堅、DOUBLE、Skoop On Somebodyなど数々のジャパニーズ
R&Bの仕掛人として有名になりました。CHEMISTRYの生みの親&
育ての親でもあります。
彼のプロダクションは『Never Too Much』という名前なんですが、それは
彼のブラックミュージックの原点、ルーサー・ヴァンドロスのヒット曲に由来
するものです。1981年に発表されたこの
アルバムはブラコン全盛期を
代表するもので、日本のアーティストにもかなり影響を与えました。
当時としては最高に洗練されたスタイルの楽曲で、とにかくカッコ良かった
ものです。彼はここからブラックミュージックの世界にのめり込んでいった
そうで、おそらく私とほぼ同じような音楽を聴いて育ったと思われるだけに、
その音楽的嗜好は実によく分かります。
そのKCが、しつこく頼み込んで実現させただけに、このアルバムには相当
の気合が入っており、未だかつて見たことが無いほどの長文の責任解説、
真心対訳と称する日本語訳、邦題も全て彼の手によるものとなっています。
さらにボーナストラックとして2曲の追加もあり、日本盤を買って良かったと
思ってもらおうという彼の思いが、ひしひしと伝わってきます。
ライナーの記事には、彼しか知り得ないような興味深い経緯なども書かれて
おり、これを読むだけでも国内盤にして良かったと思わせてくれますね。
これほどまでの思い入れのアルバムなので、内容は言わずもがなといった
ところでしょう。ひたすらスムーズでスイート、かつアーバンな良質のR&Bで、
たっぷりとリラックスした時間に浸れますよ。
昨今、かつての大物アーティストがメジャー落ちして、表舞台から去っていく
悲哀を数多く知るようになってしまいましたが、このようにベテランアーティスト
にしか出せない味を忘れてもらっては困りますね。
敬愛する
アレックスの凋落ぶりが比較に出されていたのが悲しかった。(T_T)
フィリス・ハイマンも自分を追い詰めて自殺してしまったりと、さぞやあちらの
現実は厳しいのでしょう。やはり、儲かってナンボの世界ですからね。
ただ、若い連中の代わりは、いくらでもいますが、本当に実力のあるベテランの
代わりには決して成り得ないことを分かってもらいたいものです。
アメリカ本国がダメなら、なんとか日本から救いの手を...